二世帯住宅をマンションで実現するという選択肢が、近年注目を集めています。しかし、二世帯住宅用のマンションを購入する場合、戸建てとは異なる点も多く、特にマンションローンや資金計画については慎重な検討が欠かせません。
マンションローンにおいて押さえておきたいのが「ローン契約者の設定」です。二世帯住宅では親世帯と子世帯の2つの家族が同居するため、それぞれが資金を出し合うケースも少なくありません。しかし、マンションローンは原則、登記名義とローン契約者が一致する必要があります。たとえば、親子共有名義にする場合、それぞれの年収や年齢制限、返済能力が審査対象となる点に注意が必要です。
資金計画を立てる際は、物件価格だけでなく諸費用も見落とさないようにしましょう。たとえば、登録免許税や登記費用、火災保険料、管理費や修繕積立金など、マンション特有のランニングコストがかかります。これらを含めた総額を正確に把握しておかないと、後々の支払い負担が想定以上に膨らんでしまうこともあります。
また、二世帯で資金を出し合う場合、贈与税にも注意が必要です。たとえば親が頭金を負担する場合、一定額を超えると贈与とみなされ課税対象となることがあります。これを回避するためには、住宅取得等資金の非課税特例を活用する方法もありますが、制度の適用条件や申請手続きについては事前によく確認しておくことが重要です。
具体例として、親世帯が頭金を用意し、子世帯がローンを単独で組むケースでは、ローン返済負担を子世帯に集中させる一方で、親世帯の負担が軽くなるメリットがあります。ただし、将来的に親世帯に万一のことがあった場合、相続に関するトラブルを防ぐためにも、あらかじめ共有持分や支払い割合を明確にしておくべきでしょう。
さらに、二世帯住宅向けマンションを購入する際には、住宅ローン控除の適用条件にも注意が必要です。共有名義にする場合、それぞれがローンを負担していれば、各自が住宅ローン控除を受けられる可能性があります。しかし、名義だけ共有で実際にローンを支払っていないと、控除を受けられないケースもあるため、資金負担の割合とローン契約内容の整合性が大切になります。
二世帯住宅としてマンションを購入する際には、親子共有名義やマンションローンの契約方法に注意が必要です。物件価格だけでなく、管理費や諸費用を含めた資金計画を立てることが大切です。また、親からの資金援助には贈与税がかかる場合があるため、非課税制度の活用も検討しましょう。将来のトラブルを防ぐためにも、持分割合やローン負担を明確にし、住宅ローン控除の適用条件を確認しておくことが安心して暮らすポイントです。