二世帯で暮らす選択肢のひとつとして注目されているのが、マンションでの「隣居スタイル」です。これは、同じマンションのフロア内や上下階など、距離の近い別の住戸で親世帯と子世帯が暮らす形態を指します。本コラムでは、マンションでの二世帯隣居について、メリットとデメリットを紹介します。
隣居スタイルの最大のメリットは、適度な距離感を保ちながらも安心感が得られることです。たとえば、親が高齢で一人暮らしが心配という場合でも、すぐ近くに子世帯がいることで何かあったときにすぐ駆けつけられます。一方、生活空間が完全に別であるため、食事や入浴、生活リズムの違いがストレスになることも少なく、それぞれのペースを守ることができます。
また、同じ建物内に住むことで、育児や家事のサポートを気軽に頼めるのも魅力です。たとえば、共働き世帯であれば、保育園の送り迎えや急な子どもの体調不良のときに親がサポートできる環境は大きな安心材料になります。逆に、親世帯が病気や要介護状態になった際にも、子世帯の負担を分散しやすくなります。
しかし、隣居にはデメリットも存在します。まず、同じタイミングで隣り合った住戸を購入・確保できるとは限らないという点です。マンションの販売時期や住戸配置によっては、理想の距離感が実現できないこともあります。また、建物の構造によっては、生活音や気配が意外と伝わりやすく、「思ったよりも近すぎる」と感じることもあるでしょう。
もうひとつの注意点は、管理規約や住民間のルールです。仮に将来的に片方の世帯が住まなくなった場合、売却や賃貸への転用を検討することもありますが、その際に管理規約上の制限や近隣住戸との関係性がネックになることもあります。長期的な視点でフレキシブルな対応ができるかどうかも、隣居を検討する上での重要なポイントです。
本コラムでは、マンションでの二世帯隣居スタイルについて解説しました。程よい距離感でプライバシーを守りながらも、緊急時のサポートや日常的な助け合いがしやすい住まい方です。一方で、住戸の確保や将来的な対応には注意が必要です。ライフスタイルや将来の変化も視野に入れ、家族にとってちょうどよい距離感を実現できるよう、慎重な検討が求められます。